オンラインセミナー「神々の島バリの多文化共生:インドネシア国内移民との共存の物語」開催のご案内

「神々の島」として知られるバリ島は観光業が盛んで、経済的に発展した地域です。バリ島は独自のヒンドゥー教を中心とした宗教や文化を持ち、その特異性から、住民には「バリ人」としての強いアイデンティティが形成されています。

バリ島では、1990年代以降、観光産業が急成長しました。インドネシア政府は、国内の経済格差を解消するため、ジャワ島などの人口過剰地域から他の地域への移住を歴史的に奨励してきましたが、観光産業の発展は、バリ島への他の地域からの国内移民を引き寄せることとなりました。その数は、現在まで増加の一途をたどっています。バリ島では、民族的多数派であり独自の宗教的儀礼や村落共同体制度(バンジャール)を持つバリ人と移民との間に摩擦が生じることもある一方で、これまでの歴史からは、バリ人の持つ寛容さと相互扶助の精神、そして移住者側の適応努力により、両者の間の共存の知恵を見出すことができます。

日本GIFは、気候変動適応策としてのインフラ建設に関心を持っています。現在、気候変動に伴う自然災害や環境の悪化によって住む場所を追われる人々が増加している中、受け皿となる新たなインフラの整備は重要です。バリ島への国内移住は気候変動起因ではありませんが、異なる文化背景を持つ人々が長い歴史の中でどのように共に暮らし、対立を避けながら今の社会を築いてきたのか、その成功例と課題を学ぶことは、気候変動適応インフラの建設とその将来を検討するために重要です。

今回のオンラインセミナーでは、聖心女子大学現代教養学部人間関係学科の岩原紘伊先生をお招きし、バリ島における経済移民の歴史とその背景、文化共生のプロセス、そして現代における状況についてわかりやすく解説していただきます。岩原先生は観光人類学の専門家であり、特にバリ島の観光産業や現代インドネシア社会について詳しく、多くの著書を執筆されています。

日本GIFのオンラインセミナーは、講師と参加者との質疑応答の時間を長めに取っております。観光地における社会統合、多文化共生、バリ島の地域コミュニティ、移民の適応プロセスなどに関心をお持ちの方のご参加をお待ちしております。また、関係部署等に、情報を転送していただければ幸いです。

開催日時:2024年11月28日(木)14時~15時半

開催方式:Zoomを使用したウェビナー(オンラインセミナー)

☆事前のご登録を下記よりお願いいたします。

参加費:無料、どなたでもご参加いただけます。

(イベントは終了しました。)

※Zoomの仕様上、お名前を日本語で入力されると、ご登録確認メール記載の姓名が逆転いたします。ご容赦いただきますよう、よろしくお願いいたします。

岩原 紘伊(いわはら ひろい)氏プロフィール

聖心女子大学現代教養学部人間関係学科専任講師。文化人類学、観光研究、インドネシア地域研究を専門とする。東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻博士課程修了。日本学術振興会特別研究員(2021年~2022年)、東京大学特任講師(2019年~2021年)。主な著書に、『村落エコツーリズムをつくる人びと──バリの観光開発と生活をめぐる民族誌』(2020年)、『観光人類学のフィールドワーク──ツーリズム現場の質的調査入門』(第15章 エコツーリズム・プロジェクトの現場 担当執筆)(2021年)、『基本概念から学ぶ観光人類学』(第12章 持続可能な観光 担当執筆)(2022年)など。

☆本ページの印刷用PDF(169KB)

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