「1.5℃の壁を超えれば、私たちの国は地図から消えてしまうかもしれない」――2025年11月、COP30の会場で突きつけられたのは、気候変動による海面上昇の影響を強く受けている太平洋島嶼国からの悲痛な、しかし力強い叫びでした。気候変動の最前線に立つ彼らにとって、この国際会議は単なる外交の場ではなく、国家と国民の生存をかけた戦場そのものです。
本セミナーでは、長年にわたり国連気候変動交渉の荒波の中、最前線で交渉に携わってきたOECC理事の加藤真氏を講師にお迎えし、ニュースでは報じきれない「COP30の深層」に迫ります。今回、当財団が研究フィールドとしているマーシャル諸島をはじめとする島嶼国は、国家の存亡をかけ、1.5℃目標の堅持と化石燃料からの決別、そして気候資金の桁違いの拡充を強く訴えました。さらに、災害に負けない強靭な国づくりや、失われる国土への正当な補償(Loss and Damage)、大国の論理に埋没しない「気候正義」の実現を求め、激しい交渉を展開しました。
彼らの訴えは、大国の利害が複雑に絡み合う交渉のテーブルで、どのように扱われたのでしょうか。激論の末に勝ち取ったものは何か、そして決着がつかず持ち越された課題とは何だったのか。加藤氏独自の視点で、その舞台裏を解き明かします。また、次回のCOP31はトルコで開催されますが、実質的な交渉のかじ取り役は、かつて島嶼国と共に誘致を目指したオーストラリアが担うという異例の体制となります。この複雑な力学が島嶼国にとって追い風となるのか、新たな試練となるのかについても展望します。
国際情勢、環境問題、気候変動、そして「国のあり方」に関心を持つすべての方のご参加をお待ちしております。また、関係部署等に情報を転送していただければ幸いです。
開催日時:2026年1月30日(金)14時~15時半
開催方式:Zoomを使用したウェビナー(オンラインセミナー)
☆事前のご登録を下記よりお願いいたします。
参加費:無料、どなたでもご参加いただけます。
https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_fguZSZ4lSxWH6mDRAhpqRQ
※当日ご都合がつかない場合でも、事前登録をいただいた方には、後日アーカイブ動画(録画)の公開時にご案内をお送りいたします。ぜひご登録ください。
※Zoomの仕様上、お名前を日本語で入力されると、ご登録確認メール記載の姓名が逆転いたします。ご容赦いただきますよう、よろしくお願いいたします。
※受講証明書の発行をご希望の方は、セミナー終了後のアンケートフォームよりご連絡ください。
加藤 真(かとう まこと)氏プロフィール

国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)コンサルタントを経て、2003年より一般社団法人海外環境協力センター(OECC)にて、気候変動分野の国際協力に取組む。途上国における気候変動計画(緩和・適応)の策定・実施・モニタリング評価、関連制度構築、資金アクセス向上等に関する技術協力に従事。代表的な実績として、「JICAバンコク都気候変動マスタープランプロジェクト」、「環境省途上国におけるパリ協定に基づく透明性向上支援(PaSTI)委託業務」等。2004年(COP10)から国連気候変動交渉日本政府代表団に参加。パリ協定のドラフティングでは、議題「途上国キャパシティ・ビルディング」(12条)のリードネゴシエータを担当。また、2007年より慶應義塾大学政策・メディア研究科環境イノベータコース非常勤講師として気候変動政策について教鞭をとる。
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