オンラインセミナー「沈む国土と浮かぶ未来 — 海面上昇と国際法の最前線」開催のご案内

 気候変動による海面上昇が進み、世界には国土が消失する危機に直面している国がいくつもあります。もし国土がすべて海に沈んでしまったら、その国はどうなるのでしょうか。国際法上の「国」として存続できるのか、排他的経済水域(EEZ)などの権益を維持できるのかについては、現在も議論が続いています。一方、海面上昇適応策の一つとして、人工島が注目されています。たとえばインド洋のモルディブでは、海面上昇に備えて「フルマーレ」や「ラスマレ」といった人工島を造成し、将来的に多くの国民を移住させる事業が進んでいます。しかし現在、人工島は国際法上の「領土」とは認められておらず、どのような権利を持つのかも未確定です。

今回のオンラインセミナーでは、国際法、特に海洋法の専門家であり、島の問題に関する論考を多く発表されている、中部大学の加々美康彦先生をお招きし、海面上昇と国際法について解説していただきます。これまでの国際法は、既存の海図や自然の島を基準に形成・運用され、気候変動による国土の消失や大規模な人工島建設といった問題を想定していませんでした。近年、南シナ海では中国による多数の人工島建設が国際的な争点となり、日本の沖ノ鳥島をめぐる論争も続いています。こうした事例を踏まえながら、島の定義や人工島の法的地位、将来の海面上昇適応策としてのインフラ建設について考えます。フローティング・プラットフォームなど新たな技術と国際法の関係についても、最新の知見を交えながら議論を深めていきます。

日本GIFのオンラインセミナーは、講師と参加者との質疑応答の時間を長めに取っております。気候変動、海面上昇、島嶼国・環礁国の将来、海洋政策などに関心をお持ちの方のご参加をお待ちしております。また、関係部署等に、情報を転送していただければ幸いです。

開催日時:2025年3月28日(金)14時~15時半

開催方式:Zoomを使用したウェビナー(オンラインセミナー)

☆事前のご登録を下記よりお願いいたします。

参加費:無料、どなたでもご参加いただけます。

https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_AbSJ-dRyQ5WTp2_UdO38Ow

※Zoomの仕様上、お名前を日本語で入力されると、ご登録確認メール記載の姓名が逆転いたします。ご容赦いただきますよう、よろしくお願いいたします。

※受講証明書の発行をご希望の方は、セミナー終了後のアンケートフォームよりご連絡ください。

加々美 康彦(かがみ やすひこ)氏プロフィール

中部大学国際関係学部教授(博士・国際関係)。

関西大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得満期退学、海洋政策研究財団研究員、鳥取環境大学講師・准教授を経て現職。専攻は国際法、海洋法、海洋政策。日本海洋政策学会理事、太平洋諸島学会理事。国土交通省「海洋管理のための離島の保全・管理・利活用のあり方に関する検討委員会」ほか多くの委員会委員を歴任。近著に「島の制度をめぐる国際判例と国家実行—2010年代の展開」坂元茂樹ほか編『日本の海洋法制度の展望』(有信堂、2024年)、「マーシャルズ201号事件—国連海洋法条約第121条3項の解釈と米国」浅田正彦ほか編『国家と海洋の国際法〔柳井俊二先生米寿記念〕下巻』(信山社、2025年)など。

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