生成AIの急速な普及により、世界各地でデータセンターの電力・冷却需要が前例のないペースで増大しています。機械学習アルゴリズムや大規模言語モデルのリアルタイム推論には高性能GPUが不可欠です。これらの装置は瞬時に大量の電力を消費し、同時に膨大な熱を発生させます。その結果、送電網のピーク負荷が上昇し、送電・変電設備の増強や冷却水・廃熱処理設備の整備が追いつかない地域が出現することが懸念されます。本セミナーでは、予想されるAI計算需要を想定し、データセンター事業者が直面する経済的課題を整理します。
続いて、この需要急増が電力システム全体に及ぼす影響を検証します。特に、系統容量が逼迫する状況下での再生可能エネルギー普及策、市場拡大の可能性、二酸化炭素の排出削減に関する政策目標について、分析結果とともに紹介します。
さらに、再生可能エネルギー導入が進む中で注目される「プロシューマー」(自ら電力を生産・消費する個人や事業者)の役割に焦点を当て、プロシューマーとデータセンター事業者、それぞれの拡大が社会に及ぼす影響について考察します。将来のエネルギーミックスと電力需要の動向にも触れ、AIインフラを支えるための多角的な選択肢について議論を深めます。
締めくくりに、デジタル変革(DX)とグリーントランスフォーメーション(GX)を同時に推進する政策オプションを提示し、AI駆動社会に必要な電力基盤の構築に向けた具体的なヒントを提案します。
講師は、エネルギー経済学と政策科学の双方に精通する、東京理科大学の高嶋隆太教授(日本GIF専務理事)を迎え、国内外の最新動向を解説していただきます。
日本GIFのオンラインセミナーは、講師と参加者との質疑応答の時間を長めに取っております。生成AI開発、電力事業、特にエネルギー政策などに関心をお持ちの方のご参加をお待ちしております。また、関係部署等に、情報を転送していただければ幸いです。
開催日時:2025年7月31日(木)14時~15時半
開催方式:Zoomを使用したウェビナー(オンラインセミナー)
☆事前のご登録を下記よりお願いいたします。
参加費:無料、どなたでもご参加いただけます。
https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_1DypapWoR9e01t570qXhUg
※Zoomの仕様上、お名前を日本語で入力されると、ご登録確認メール記載の姓名が逆転いたします。ご容赦いただきますよう、よろしくお願いいたします。
※受講証明書の発行をご希望の方は、セミナー終了後のアンケートフォームよりご連絡ください。
高嶋 隆太(たかしま りゅうた)氏プロフィール
東京理科大学創域理工学部教授。
1976年生まれ、東京都出身。東京大学大学院工学系研究科博士課程中途退学後、東京大学助教、電力中央研究所協力研究員、千葉工業大学准教授、原子力安全研究協会研究参与などを経て現職。博士(工学)。専門分野は、エネルギー経済学、政策科学、健康経済学。
<主な著書・論文>
- Ito, M. Tanaka, and R. Takashima, Strategic Investment in Power Generation and Transmission under A Feed-in Premium Scheme: A Game Theoretic Real Options Analysis, Annals of Operations Research Vol. 343, pp. 349-372, 2024.
- Oga, K. Ito, and R. Takashima, Sustainable Investments in the Face of Social Unrest and Risk: A New Perspective on Corporate Social Responsibility, Economics Letters Vol. 236, 111616, 2024.
- Chen, M. Tanaka, and R. Takashima, Recovering Fixed Costs in the Presence of Prosumers, International Journal of Electrical Power and Energy Systems Vol. 154, 109418, 2023.
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