海洋温度差発電(Ocean Thermal Energy Conversion, OTEC)は、主として熱帯地域で、太陽光によって温められた海洋表層の温水と、太陽光の届かない深層の冷たい深層海水の温度差を利用し、熱機関を動かし発電を行う技術です。CO2排出なしで発電が可能なクリーンエネルギーで、24時間安定した電力供給が可能です。日本GIFは1980年代からOTECに着目し、沖縄県久米島での調査研究も実施しました。久米島では、2013年に沖縄県のプロジェクトとしてOTECの実証試験設備が建設され、現在でも運転が行われています。
近年、日本GIFでは、「小島嶼国の気候変動適応策としてのインフラ」についての調査研究を実施しています。OTECは、熱帯地域に位置する小島嶼国にとって有用な技術ですが、発電コストがネックとなって普及が進んでいません。これを解決するための手段として、日本GIFでは、「久米島モデル」に注目しています。
「久米島モデル」とは、久米島で推進されている、OTECと、その発電後の海洋深層水を農業・水産業・製造業・観光業等で活用することを組み合わせた社会システムです。最近、久米島の海洋深層水を利用した「あたらないカキ」についての報道を目にされた方もいらっしゃると思います。「久米島モデル」は、OTECの発電コストの問題を、島のシステム全体として解決する取り組みで、他の小島嶼国にも応用できる可能性が高いと考えられます。
今回のセミナーでは、久米島で実際にOTECの実証実験のプロジェクトマネージャーを務め、久米島町が掲げる「久米島モデル」の推進に取り組まれている、株式会社ゼネシス 久米島プロジェクト推進部 取締役部長 岡村盡氏を講師にお迎えし、「久米島モデル」のこれまでとこれからについて、お話を伺います。岡村氏は、久米島モデルを推進する一般社団法人国際海洋資源エネルギー利活用推進コンソーシアム(GOSEA)の事務局長も兼任されており、OTECや海洋エネルギー、「久米島モデル」に関する幅広い知識と経験をお持ちです。
日本GIFのオンラインセミナーは、講師と参加者との質疑応答の時間を長めに取っております。OTECや、その他の海洋エネルギー利活用、海洋深層水の活用、島嶼地域の産業振興などに関心をお持ちの方のご参加をお待ちしております。また、関係部署等に、情報を転送していただければ幸いです。
開催日時:2024年3月28日(木)14時~15時半
開催方式:Zoomを使用したウェビナー(オンラインセミナー)
☆事前のご登録を下記よりお願いいたします。
(イベントは終了しました。)
参加費:無料、どなたでもご参加いただけます。
※Zoomの仕様上、お名前を日本語で入力されると、ご登録確認メール記載の姓名が逆転いたします。ご容赦いただきますよう、よろしくお願いいたします。
岡村 盡(おかむら しん)氏プロフィール
(株)ゼネシス 久米島プロジェクト推進部 取締役部長。
修士(工学)。日立造船(株)にて商船の基本設計に従事した後、2005年から(株)ゼネシスにて海洋温度差発電を始めとする低位熱エネルギー利用のエンジニアとして、国内外の調査研究や計画業務、基本設計業務に携わる。2012年に開始された沖縄県「海洋深層水利用高度化に向けた発電利用実証事業」ではエンジニアリングマネージャーとして海洋温度差発電実証試験設備の設計を担当、久米島に赴任し、2013年~2018年の各種試験と性能解析を手がけた。その間、久米島における海洋深層水の多目的な利活用「久米島モデル」に魅了され、現在も久米島にて各種の関連プロジェクトに携わっている。一般社団法人国際海洋資源エネルギー利活用推進コンソーシアム事務局長。海洋深層水利用学会 理事。
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