2021年4月16日の菅総理(当時)とバイデン大統領との日米首脳会談で、日米両国は「日米気候パートナーシップ」および「日米競争力・強靭性(コア)パートナーシップ」を立ち上げました。クリーンエネルギーパートナーシップ(JUCEP)は、この2つのパートナーシップの目的を支援するため、日米両国により創設されました。JUCEPの目的は、「自由で開かれたインド太平洋」のビジョンに沿って、「インド太平洋地域及び世界中の国々が脱炭素化に向けた努力を加速できるよう支援するとともに、クリーンで安価かつ安全なエネルギー技術を実装することでエネルギー安全保障と持続可能な成長を実現する(経産省HP)」ことです。JUCEPの枠組みの元、ハワイの非営利団体である「太平洋国際ハイテクセンター(PICHTR)」が、太平洋島嶼国における日米共同の気候関連プロジェクトを支援するPacific Islands Climate Collaborative(PICC)を実施しています。
PICHTRは、先端技術の日米共同研究開発のため、1983年に設立されました。ハワイ州は2015年、全米で初めて、2045年までに再生可能エネルギーの割合を100%にする法律を可決しました。ハワイはどこからも遠く、何もかも船で運搬することから、電気代や物価が米国で最も高いことで知られていますが、これを逆手にとって、再エネやサステナビリティの最先端の実証が行われています。また、古くから環境を大事にして共生を目指してきた「アロハ」の文化とも相まって、環境テクノロジー・気候変動におけるイノベーションのメッカとしてポテンシャルのある立地です。PICC は、ハワイと太平洋島嶼国の地理的・環境的な「近さ」を武器に、ハワイで急速に開発が進む再エネ関連技術を、日米政府が協力することで、太平洋島嶼国に展開しようとするものです。
太平洋島嶼国は「自由で開かれたインド太平洋」の重要な一部であり、最近では、中国との関係の深まりによる安全保障上の懸念が取り沙汰されている、ホットな地域です。また、日米という2カ国が、複数の太平洋島嶼国を支援するという枠組みは、日本GIFが依って立つ「GIF構想」の特徴の一つである「多国間支援」の具現化とも言えるもので、大いに注目されます。
今回のセミナーでは、PICHTRのアドバイザーである永井直樹氏に、ハワイでの再エネ拡大の取り組み、PICHTRの活動、PICCの進展と今後の展望について、お話しいただきます。永井氏は、PICHTRのアドバイザーとして、太平洋地域を横断して、エネルギー、気候変動、および公平なブロードバンドプロジェクトを含む幅広いプロジェクトの開発に取り組んでおられます。
日本GIFのオンラインセミナーは、講師と参加者との質疑応答の時間を長めに取っております。最先端の再生エネ関連技術、ハワイでの研究開発、日米協力、太平洋島嶼国地域等に関心をお持ちの方のご参加をお待ちしております。また、関係部署等に、情報を転送していただければ幸いです。
開催日時:2022年11月24日(木)14時~15時半
開催方式:Zoomを使用したウェビナー(オンラインセミナー)
☆事前のご登録を下記よりお願いいたします。
参加費:無料、どなたでもご参加いただけます。
(イベントは終了しました。)
※Zoomの仕様上、お名前を日本語で入力されると、ご登録確認メール記載の姓名が逆転いたします。ご容赦いただきますよう、よろしくお願いいたします。
永井 直樹(ながい なおき)氏プロフィール
日本で生まれ育ち、英国のユナイテッド・ワールド・カレッジ・アトランティックに高校留学の後、ハーバード大学応用数学科を優等な成績で卒業した。マッキンゼー・アンド・カンパニーの東京オフィスで経営コンサルタントとしてキャリアをスタートさせ、半導体業界とM&Aデューデリジェンスに注力。その後はプレゼンテーションを専門とする翻訳会社、ボイスメッセージと音声ブログのスタートアップ、投資アルゴリズムを開発してクオンツおよび伝統的ヘッジファンドにライセンス供与するフィンテックなど、様々なビジネスを設立した。ハワイの非営利団体である太平洋国際ハイテク研究センター(PICHTR)のアドバイザーとして、技術的な専門知識と組織経営のサポートを提供している。
2014年に米国に拠点を移し、家族と共にハワイに居住する。米日カウンシルのメンバーとしても積極的に活動しており、SpotifyやApple Musicでオリジナルのピアノ曲を公開している。
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