2023年11月30日から、ドバイでCOP28(国連気候変動枠組条約締約国会議)が開催されます。小規模な島嶼国は、気候変動の影響、特に海面上昇の影響を強く受けており、これまでも国際社会に対策を求めてきました。今回のCOP28でも、島嶼国がどのような提案をするのか、大いに注目されています。
今、太平洋島嶼国の政治が大きく変化しつつあります。国を長年率いてきた、強い理念とリーダーシップを持つ政治家が次々と選挙で敗れて退場し、直接国民にメリットがある現実的な政策を掲げた、新たなリーダーが登場してきました。この流れの中で、太平洋島嶼国のCOPなど国際会議での提案や要求も、強いリーダーによる気候変動緩和策を中心とした「理念先行型」から、適応のための具体策に舵を切りつつあります。前回のCOP27で、気候変動に起因する発展途上国の「損失と被害」の支援に特化した基金(いわゆる「ロスダメ基金」)の設立が合意されたことも、この傾向を後押しするものと考えられます。
「理念先行型」の訴えは、国際社会にインパクトを与え、太平洋島嶼国の存在感は増大しました。緩和対策では、多くの国の利害が一致するので太平洋島嶼国は団結しやすかったのですが、適応対策はそれぞれの国によって状況や求めるものが異なるため、団結して先進国に要求するという旧来の交渉スタイルは取りにくくなることが予想されます。各国はどのように国際交渉に臨むのでしょうか。
今回の講師には、長年太平洋島嶼国について研究してこられ、メディアでもご活躍の、東海大学観光学部の黒崎岳大准教授をお迎えいたします。黒崎准教授に、太平洋島嶼国の最近の政治の動向や世論の変化、中国との距離感など新たな国際関係の変化を読み解いていただき、COP28での交渉の行方を占います。
日本GIFのオンラインセミナーは、講師と参加者との質疑応答の時間を長めに取っております。COP28での国際交渉、太平洋地域・太平洋島嶼国、小島嶼国の気候変動対策などに関心をお持ちの方のご参加をお待ちしております。また、関係部署等に、情報を転送していただければ幸いです。
開催日時:2023年11月30日(木)14時~15時半
開催方式:Zoomを使用したウェビナー(オンラインセミナー)
☆事前のご登録を下記よりお願いいたします。
参加費:無料、どなたでもご参加いただけます。
(イベントは終了しました。)
※Zoomの仕様上、お名前を日本語で入力されると、ご登録確認メール記載の姓名が逆転いたします。ご容赦いただきますよう、よろしくお願いいたします。
黒崎 岳大(くろさき たけひろ)氏プロフィール
黒崎 岳大(東海大学観光学部准教授)
専門分野は、オセアニア政治・経済学、文化人類学。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。同大学文学部助手、在マーシャル日本国大使館専門調査員、外務省アジア大洋州局大洋州課事務官、国際機関太平洋諸島センター(PIC)副所長などを経て、2018年より現職。外務省第9回太平洋・島サミットに向けた有識者会合委員、防衛省能力構築支援に関する有識者会合委員など歴任。第13回中曽根康弘賞奨励賞受賞(公益財団法人世界平和研究所、2017年)主な著書に『マーシャル諸島の政治史―米軍基地・ビキニ環礁核実験・自由連合協定』(明石書店、2013年)、『太平洋島嶼地域における国際秩序の変容と再構築』(共編著、JETROアジア経済研究所、2016年)、『スタディガイドSDGs』(学文社、2021年)、『ようこそオセアニア世界へ』(共編著、昭和堂、2023年)、『移民たちの太平洋』(共編著、JETROアジア経済研究所、2023年)、『地図でスッと頭に入るオーストラリアと太平洋の島々』(監修、昭文社、2023年)など。
☆本ページの印刷用PDF(146KB)