オンラインセミナー「電力はどうやって国境を越えるのか?「電力貿易」の現状と課題」開催のご案内

世界の多くの国が、エネルギー源を輸入に頼っています。例えば日本は、オーストラリアやマレーシア、カタールなどから液化天然ガス(LNG)を大量に輸入し、発電に利用しています。しかしLNGは、産出国で液化した後、専用船で運搬するため、加工・輸送コストがかかります。そこで、エネルギー源の産出国で発電してその電力を輸入した方が電力価格が安くなるのではないか、というアイディアが生まれます。

あるいは、電力の再エネ化を推進するため、北アフリカの砂漠地帯で太陽光発電を行い、冬場に太陽光発電の効率が低下するヨーロッパに送電する提案がなされています。このように、国を越えた電力の売買を行うのが「電力貿易」です。

しかし、ヨーロッパ域内など一部を除き、世界の電力貿易の進捗は遅々たるものです。特に日本では、サハリンから北海道への送電が旧ソ連やロシアにより1980年代から提案されていますが、具体化する機運はありません。また、モンゴルの風力、ロシア極東の水力、中国の太陽光などの電源を活用し、中国東北部や韓国、日本に送電する「アジアスーパーグリッド構想」も、今のところ実現の目処は立っていません。

電力貿易が容易でない理由には、国家間の外交問題だけでなく、電力を輸出入する国内の事情が大きく影響しています。今回のオンラインセミナーでは、電力貿易について10年以上前から研究してきた2人の研究者(東北大学災害科学国際研究所 佐々木大輔准教授、日本GIF 中山幹康専務理事(東京大学名誉教授))が,世界各地での計画を取り上げ、それがうまくいっている理由、あるいは不調な理由について解説します。

日本GIFのオンラインセミナーは、講師と参加者との質疑応答の時間を長めに取っております。国際的な電力貿易、スーパーグリッド、電力価格、エネルギー源の多様化などに関心をお持ちの方のご参加をお待ちしております。また、関係部署等に、情報を転送していただければ幸いです。

開催日時:2024年5月24日(金)14時~15時半

開催方式:Zoomを使用したウェビナー(オンラインセミナー)

☆事前のご登録を下記よりお願いいたします。

https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_u5zw3wDEQxKauH7vF-OLgQ

参加費:無料、どなたでもご参加いただけます。

※Zoomの仕様上、お名前を日本語で入力されると、ご登録確認メール記載の姓名が逆転いたします。ご容赦いただきますよう、よろしくお願いいたします。

佐々木 大輔(ささき だいすけ)氏プロフィール

東北大学災害科学国際研究所准教授。2004年3月東京大学理学部物理学科卒。2015年9月東京大学大学院新領域創成科学研究科国際協力学専攻博士課程修了。博士(国際協力学)(東京大学)。

民間シンクタンク等での勤務を経て、2017年9月から東北大学災害科学国際研究所において研究・教育活動に従事。2023年10月から東北大学大学院環境科学研究科准教授(兼任)。日本GIF上席客員研究員。主な研究テーマは、防災・気候変動適応・レジリエンスの数量化・エビデンスに基づく政策立案。

電力貿易に係る研究については、中山専務理事が研究代表者を務めた科研費採択課題(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17K18578/)に研究分担者として参画。

☆本ページの印刷用PDF(165KB)

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