気候変動を起因とする移住、いわゆる「気候難民」の数は増加の一途をたどっています。本セミナーは、専門家お二人(藤倉良先生(法政大学人間環境学部教授)、加藤真先生(一般社団法人海外環境協力センター(OECC)理事)と、当財団の中山幹康(日本GIF専務理事、東京大学名誉教授)の対談形式で、特に島嶼国における移住と今後の国際社会の関わりについて、先日開催されたCOP28での議論を踏まえて検討します。
気候変動による海面上昇の影響を大きく受ける島嶼国では、今後、国外への移住者が増大する可能性があります。マーシャル諸島のように、既に多くの住民がアメリカ等に移住している国もあります。島嶼国の住民の国外移住の実際について概観します。
一方、島嶼国の住民には、国内に留まる権利もあります。そのためには、海面上昇に適応するためのインフラの建設が必要です。人工島建設、埋め立てによる島の拡張などの事例を紹介します。
こうした対処に関連する資金源の1つとして、「損失と損害(loss and damage)基金=ロスダメ基金」に注目が集まっています。本セミナーでは、COP28をうけたロスダメ基金設立に関わる現状や課題について紹介します。
ロスダメ基金以外の資金源としては、国際社会からの支援が重要です。日本を含む、国際社会は何ができるのでしょうか。島嶼国との連帯と協力のあり方について議論します。
日本GIFのオンラインセミナーは、講師と参加者との質疑応答の時間を長めに取っております。気候変動による移住の問題、島嶼国の気候変動対策、ロスダメ基金を含むCOPでの議論の動向などに関心をお持ちの方のご参加をお待ちしております。また、関係部署等に、情報を転送していただければ幸いです。
開催日時:2024年1月30日(火)14時~15時半
開催方式:Zoomを使用したウェビナー(オンラインセミナー)
☆事前のご登録を下記よりお願いいたします。
参加費:無料、どなたでもご参加いただけます。
(イベントは終了しました。)
※Zoomの仕様上、お名前を日本語で入力されると、ご登録確認メール記載の姓名が逆転いたします。ご容赦いただきますよう、よろしくお願いいたします。
藤倉 良(ふじくら りょう)氏プロフィール
法政大学人間環境学部教授。1984年から1995年まで環境庁(現・環境省)に勤務。1999年まで九州大学工学部助教授、2003年まで立命館大学経済学部教授を務める。2023年から公益社団法人環境科学会会長。専門は環境システム科学及び国際環境協力。主な研究テーマは公害対策の政策形成過程、開発援助や気候変動に伴う住民移転、気候変動に関する技術移転。編著として、Resettlement Policy in Large Development Projects, Routledge, Oxford, 2015、Climate Change Mitigation and International Development Cooperation, Earthscan, London, 2012、Climate Change Adaptation and International Development – Making Development Cooperation More Effective, Earthscan, London, 2010 (以上全て共同編集)がある。著作には、『文系のための環境科学入門 新版』、有斐閣、2016(共著)、『エコ論争の真贋』、新潮新書、2011などがある。
加藤 真(かとう まこと)氏プロフィール
国連アジア太平洋経済社会委員会(UN ESCAP)コンサルタントを経て、2003年より一般社団法人海外環境協力センター(OECC)にて、気候変動分野の国際協力に取組む。(理事・業務部門長・主席研究員)。途上国における気候変動計画(緩和・適応)の策定・実施・モニタリング評価、関連制度構築、資金アクセス向上等に関する技術協力に従事。代表的な実績として、「JICAバンコク都気候変動マスタープランプロジェクト」、「環境省途上国におけるパリ協定に基づく透明性向上支援(PaSTI)委託業務」等。2004年(COP10)から国連気候変動交渉日本政府代表団に参加。パリ協定のドラフティングでは、議題「途上国キャパシティ・ビルディング」(12条)のリードネゴシエータを担当。また、2007年より慶應義塾大学政策・メディア研究科環境イノベータコース非常勤講師として気候変動政策について教鞭をとる。
☆本ページの印刷用PDF(261KB)