国際協力への懐疑や援助機関への風当たりが強まる昨今、現場で築かれる「見えないインフラ」、国際協力基盤に光を当てる必要があります。本セミナーでは、ワシントン在住の世界銀行上級水資源管理専門官の田中幸夫氏が、ブラマプトラ川流域(インド・アッサム州、ブータン、バングラデシュ)で進行中の大規模プロジェクトを題材に、「国境を越える水」の管理が平和と包摂的成長を支えるメカニズムを、現場目線で掘り下げます。
洪水予警報モデルの共同開発、上流・下流の利害調整、州政府と中央政府のねじれ、さらにはアジア開発銀行との役割分担――複雑なステークホルダーを束ねる際、世界銀行は「中立の触媒」としてどのように合意形成を進めるのか。データ共有の合意文書づくりや資金インセンティブ(リバブル・プラネット・ファンド)の設計、技術協力に伴う人材育成まで、平時から紛争の芽を摘む、国対国の相互関係を築くための活動についてお伺いします。加えて、海への物流動脈となる内水面航路整備をめぐり「下流国が上流国を動かす」逆転現象が協力の呼び水となる実例も取り上げ、従来イメージとは異なる国際河川交渉のダイナミズムを浮き彫りにします。
水資源管理・開発援助に携わる実務家はもちろん、国際機関を志望する学生や地域研究者にとっても、平時に紛争を未然に防ぐ“白鳥の水かき”のリアルを学ぶ貴重な機会です。
日本GIFのオンラインセミナーは、講師と参加者との質疑応答の時間を長めに取っております。国際協力、開発援助、国際機関の活動、河川流域開発などに関心をお持ちの方のご参加をお待ちしております。また、関係部署等に、情報を転送していただければ幸いです。
開催日時:2025年5月29日(木)午前10時~11時半
(※通常のオンラインセミナーと開催時間が異なりますのでご注意ください)
開催方式:Zoomを使用したウェビナー(オンラインセミナー)
☆事前のご登録を下記よりお願いいたします。
参加費:無料、どなたでもご参加いただけます。
https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_ky_pb8p_SFuNJ9B2996tHA
※Zoomの仕様上、お名前を日本語で入力されると、ご登録確認メール記載の姓名が逆転いたします。ご容赦いただきますよう、よろしくお願いいたします。
※受講証明書の発行をご希望の方は、セミナー終了後のアンケートフォームよりご連絡ください。
田中 幸夫(たなか ゆきお)氏プロフィール
世界銀行 水グローバルプラクティス 上級水資源専門官。博士(農学)。東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程中退、日本学術振興会特別研究員(2006~07年)、東京大学助教・特任講師(2007~12年)、国際協力機構(2012~17年)を経て、2017年より現職。発展途上国における持続可能な水資源管理・利用をテーマに、これまでアジア・中東・アフリカ30か国以上の水資源・灌漑・洪水対策プロジェクトに従事。研究または業務で携わった国際河川はメコン、ガンジス、ブラマプトラ、ティグリス・ユーフラテス、ナイル、ドナウなど。
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