緊急オンラインセミナー「どうする?どうなる?中央アジア~ウクライナ危機の衝撃と余波~」開催のご案内

日本GIFは、1980年代後半から、アラル海の環境改善プロジェクトに取り組みました。アラル海は、中央アジアのカザフスタンとウズベキスタンの間にある塩水湖です。かつては、世界で3番目に大きな湖で豊かな自然を誇りましたが、ソビエト連邦(当時)の灌漑政策により湖に流入する水が大幅に減少したことから、1960年代以降急速に面積の縮小が進み、今ではかつての面影はありません。日本GIFはこのプロジェクトを通じて、ソビエト連邦が崩壊したあと誕生した中央アジア諸国(ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン)への関心を持ち続けています。

本年2月のロシアのウクライナへの軍事侵攻により、その中央アジア諸国が動揺しています。中央アジア諸国にとってウクライナ危機は、同じ旧ソ連の一部であった国として、他人事ではありえません。ロシアは、軍事侵攻の前に、周到に中央アジア諸国への影響力行使を準備していたとの観測もあります。

現時点で、ウクライナとロシアの今後については見通せませんが、今回の軍事侵攻の影響は大きく、また長期化するものと考えられます。中央アジア諸国への政治的・経済的影響、地政学的変化についても、注視していく必要があります。

今回のセミナーでは、日本のアラル海研究の第一人者であり、豊富な中央アジア現地滞在・研究の経験をお持ちの、名古屋外国語大学世界共生学部の地田徹朗准教授を講師にお迎えします。ひとくくりに「中央アジア諸国」と言っても、ロシアとの距離感は国によって異なります。地田准教授には、各国が今後取りうる外交政策や経済への影響、ロシアや第三国(中国や日本など)との関係の分析などをお話しいただきます。

日本GIFのオンラオンセミナーは、講師と参加者との質疑応答の時間を長めに取っております。ロシアの軍事侵攻に関する国際情勢、中央アジア諸国の政策やビジネス、地政学や平和構築等に関心をお持ちの方のご参加をお待ちしております。また、関係部署等に、情報を転送していただければ幸いです。

開催日時:2022年4月15日(金)14時~15時半

開催方式:Zoomを使用したウェビナー(オンラインセミナー)

☆事前のご登録を下記よりお願いいたします。参加費:無料、どなたでもご参加いただけます。

(イベントは終了しました。)

※Zoomの仕様上、お名前を日本語で入力されると、ご登録確認メール記載の姓名が逆転いたします。ご容赦いただきますよう、よろしくお願いいたします。

地田徹朗(ちだ てつろう)氏プロフィール

(写真:アラル海にて)

専門はソ連史、中央アジア地域研究、環境史。近年は、アラル海の現場でのフィールドワークとアーカイブを中心とした文書史料とを突き合わせて、アラル海地域の環境・社会・経済の変化について検討するような研究を展開している。2008年2月より2010年3月まで、在トルクメニスタン日本国大使館専門調査員をつとめ、水問題を含む経済協力関連の調査・実務に携わった。2011年3月、東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。2011年4月~2017年3月まで、北海道大学スラブ研究センター(2014年4月からはスラブ・ユーラシア研究センター)に学術研究員、助教として勤務。2017年4月より、名古屋外国語大学世界共生学部准教授。

<主な著書・論文>

  • (シンジルトとの共編著)『牧畜を人文学する』名古屋外国語大学出版会、2021年。
  • 「戦後スターリン期トルクメニスタンにおける運河建設計画とアラル海問題」『スラヴ研究』56号、2009年、1-36頁。
  • “Science, Development and Modernization in the Brezhnev Time: The Water Devel-opment in the Lake Balkhash Basin,” Cahiers du monde russe 54(1-2), 2013, pp. 239-264.
  • 「アラル海の過去・現在・未来:2013年1月~2月、カザフスタン巡検、八人の証言」『境界研究』特別号、2014年、69-85頁。
  • 「ペレストロイカと環境問題:『アラル海問題』をめぐるポリティクス」『国際政治』201号、2020年9月、33-48頁。

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