オンラインセミナー「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)とアフリカ東海岸物流回廊」開催のご案内

「自由で開かれたインド太平洋(Free and Open Indo-Pacific: FOIP)」とは、「インド太平洋地域全体の平和と繁栄を保障し、いずれの国にも安定と繁栄をもたらすために、ASEANの中心性、一体性を重視し包括的かつ透明性のある方法で、ルールに基づく国際秩序の確保を通じて、自由で開かれたインド太平洋地域を「国際公共財」として発展させるという構想」(経済産業省HP)です。

インド洋に接する東アフリカ沿岸地域は、FOIPの最西端です。日本は歴史的に、東アフリカおよび南部アフリカの諸国の経済開発を支援してきました。港湾から内陸への物流回廊(道路、鉄道、パイプライン)は、内陸国にとっては生命線となるインフラストラクチャーです。アフリカ東海岸には、北から順に、ラム[LAPSSET](ケニア)、モンバサ[東アフリカ北部](ケニア)、タンガ(タンザニア)、ダルエスサラーム(タンザニア)、ナカラ(モザンビーク)という、5つの主要な物流回廊があります。これらの物流回廊は現在、FOIPと、中国が推進する「一帯一路」が拮抗し、日本にとって戦略的に非常に重要になっています。

日本政府や企業のFOIPに対する関心は、日本と地理的に近い東南アジアと南アジアに集中しており、西アジア(中東)や東アフリカへの関心は相対的に希薄です。日本GIFは、東アフリカの5つの物流回廊について、「どの回廊がなぜ重要か」についての日本の認識がアップデートされておらず、支援や開発の優先度が現状に即していないことを懸念しています。例えば、2021年の外交青書には、「連結性の強化に向け、3重点地域(東アフリカ・北部回廊、ナカラ回廊、西アフリカ成長の環)を中心とした質の高いインフラ投資の推進にも取り組んでいる。(p.243)」とありますが、それ以外の回廊、特に日本とも関係の深いラム回廊については触れられていません。

日本GIFは、2020年10月から2021年3月まで、中東・アフリカの政治・経済の専門家であるカリファ大学(UAE)助教授のブレンドン・キャノン博士に委託し、FOIPの観点から優先的に建設を支援すべき物流回廊を明らかにするための研究を実施いたしました。報告書“The Big Five: The Free and Open Indo-Pacific and East Africa’s Transport Corridors”の概要版(日英)は、当財団のHPに掲載しています。4月以降も、引き続きキャノン博士のご主導で、当財団のインターンを交えて、アフリカ東海岸物流回廊に関する研究を深めています。

今回は、オンラインセミナーの利点を活かし、アブダビ在住のキャノン博士に、上記報告書とその後の研究の進展についてご報告いただくとともに、現地で得た最新情報を伝えていただきます。FOIPと「一帯一路」の関係、東アフリカの5つの輸送回廊、東アフリカ地域情勢や経済開発、現地情報などにご関心をお持ちの方のご参加をお待ちしております。

※オンラインセミナーでは、キャノン博士によるプレゼンテーションの後に、質疑応答が行われます。プレゼンテーションは、事前に収録した動画をご覧いただきます。セミナー前に、プレゼンテーション内容を日本語に翻訳した文書を、参加登録された方に送付します。
プレゼンテーション後の質疑応答は、キャノン博士にアブダビからご参加いただき、リアルタイム(ライブ)で実施します。質疑応答については日英の逐次通訳が提供されます。

開催日時:2021年9月29日(水)14時~15時半

開催方式:Zoomを使用したウェビナー(オンラインセミナー)

☆事前のご登録を下記よりお願いいたします。

参加費:無料、どなたでもご参加いただけます。

(イベントは終了しました。)

※Zoomの仕様上、お名前を日本語で入力されると、ご登録確認メール記載の姓名が逆転いたします。ご容赦いただきますよう、よろしくお願いいたします。

ブレンドン・キャノン博士(Dr. Brendon Cannon)(Khalifa University, UAE)プロフィール

アラブ首長国連邦のアブダビにあるカリファ大学の国際・市民安全保障研究所(IICS)で国際安全保障を担当(助教授)。2009年に米国ユタ大学で国際関係論を中心とした政治学の博士号を取得。研究テーマは、国際関係、安全保障研究、地政学、東西アジアとアフリカ東部の戦略的相互作用。地域の安全保障と地政学、サハラ以南のアフリカにおける軍需産業と軍事力、アフリカに対する外部国家の軍事力展開能力と関心、インド太平洋における軍事力配分の変化などをテーマにした論文を発表している。

Ash Rossiter (Khalifa University)と共同で” Conflict and Cooperation in the Indo-Pacific: New Geopolitical Realities “ (Routledge, 2020)を編集。African Security、Terrorism and Political Violence、Defense Studies、Small Wars and Insurgencies、Third World Quarterly、African Security Reviewなどに多数の記事を寄稿。最新の著作は”Indo-Pacific Strategies: Navigating Geopolitics at the Dawn of a New Age”(墓田桂 成蹊大学教授との共編著)は、2021年後半にRoutledgeより発売予定。

☆本ページの印刷用PDF(165KB)

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