オンラインセミナー「台風の進路は曲げられるのか?~水害予測技術100年の進歩と気象制御への挑戦~」開催のご案内

近年、気候変動の影響などにより、台風や豪雨などの「極端風水害」の被害が世界的に拡大し、災害リスクの低減が強く求められています。これまで、気象災害への対応は、堤防などのインフラ建設、警報発出による避難などに力点が置かれてきました。しかし、今後も気象災害の被害は激甚化・増加が予想されており、これまでの対応だけでは限界があります。

古来、「天気」は、人間の意のままにならないものの代表とされてきましたが、台風など災害を起こすような極端な気象の予測精度の向上、また回避あるいは軽減できる制御技術へのチャレンジが続いています。こうした技術の動向は、当財団の関心事である大規模な気象災害対応インフラを検討する上で、考慮に入れる必要があります。一方、気象制御の実現には、自然と共生する形での信頼性の高い気象制御が可能であるかという技術的な側面に加えて、社会的な合意形成や倫理的な課題解決、グローバルなルール形成など、これから時間をかけて検討すべき課題も山積しています。

今回のセミナーでは、東京大学の澤田洋平准教授を講師にお迎えします。澤田准教授は、国が策定した「ムーンショット目標8:2050年までに、激甚化しつつある台風や豪雨を制御し極端風水害の脅威から解放された安全安心な社会を実現」に参加され、研究開発プロジェクト「社会的意思決定を支援する気象-社会結合系の制御理論」のプロジェクトマネージャーを務められています(https://www8.cao.go.jp/cstp/moonshot/sub8.html)。

澤田准教授には、上記「ムーンショット目標8」に関連して、現代においてはインフラと呼んでも差し支えないほど欠かせないものとなった気象予測・水害予測の技術がこれまでどのように進展し、現在の研究のフロンティアはどこにあるのかを解説いただきます。その上で、気象予測技術の延長としての気象制御技術の可能性と今後の展望、気象制御の実現に向けて欠くことのできない社会的受容や国際協調について、ご講演いただきます。

日本GIFのオンラインセミナーは、講師と参加者との質疑応答の時間を長めに取っております。水害予測、気象制御、防災・減災インフラ、技術と倫理、国際的なルール策定等に関心をお持ちの方のご参加をお待ちしております。また、関係部署等に、情報を転送していただければ幸いです。

開催日時:2022年7月22日(金)14時~15時半

開催方式:Zoomを使用したウェビナー(オンラインセミナー)

☆事前のご登録を下記よりお願いいたします。

参加費:無料、どなたでもご参加いただけます。

(イベントは終了しました。)

※Zoomの仕様上、お名前を日本語で入力されると、ご登録確認メール記載の姓名が逆転いたします。ご容赦いただきますよう、よろしくお願いいたします。

澤田 洋平(さわだ ようへい)氏プロフィール

2016年に東京大学で博士号(工学)を取得したのち、理化学研究所 計算科学研究機構に特別研究員として就職。その後2017年から2019年3月まで気象庁気象研究所で研究官を務め、数値天気予報に関する研究に従事。2019年4月からは東京大学 総合研究機構 准教授として社会空間における観測ー予測ー制御の技術革新により水文気象災害に強い社会づくりを目指して研究をしている。

<主な著書・論文>

  • Sawada, Y., T. Koike, E. Ikoma, and M. Kitsuregawa (2019), Monitoring and predicting agricultural droughts for a water-limited sub-continental region by integrating a land surface model and microwave remote sensing, IEEE Transactions on Geoscience and Remote Sensing, 58, 14-33
  • Sawada, Y., K. Okamoto, M. Kunii, and T. Miyoshi (2019), Assimilating every-10-minute Himawari-8 infrared radiances to improve convective predictability, Journal of Geophysical Research – Atmospheres, 124, 2546-2561
  • Sawada, Y., T. Nakaegawa, and T. Miyoshi (2018), Hydrometeorology as an inversion problem: Can river discharge observations improve the atmosphere by ensemble data assimilation?, Journal of Geophysical Research – Atmospheres, 123, 848-860
  • Sawada, Y. and R. Hanazaki (2020), Socio-hydrological data assimilation: analyzing human-flood interactions by model-data integration, Hydrology and Earth System Sciences, 24, 4777-4791

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